中国大連で日本語を教えています。日本語を教えながら感じたこと、気づいたことなどを記します。


by nihongobaka
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「多い+名詞」再考

以前書いた記事の答えがようやく見つかったので、書いてみようと思う。

「公園に大きい木があります」はいいが、
「公園に多い木があります」はなぜだめか、というものだが、

まず、「大きい」と「多い」はどちらも「い形容詞」ではあるが、性質が異なっている。
「大きい」は修飾されるもの自体の属性やそれに対する話者の印象を表すのに対し、「多い」は数量を表す。これは疑問詞の「どう」や「どんな」を使った質問の答えに「多い」は単独で用いられないことからもわかる。

「あの公園はどうでしたか」(公園に対する印象を聞いている)
「大きかったです」(○)
「多かったです」(×)(「木が多かったです」は○)

「あの公園はどんな公園ですか」(公園の属性を聞いている)
「大きい公園です」(○)
「多い公園です」(×)(「木が多い公園です」は○)

このように同じ形容詞であっても性質が違うため、使い方も異なることになる。

さらに、日本語では数量を表す語は動詞の前に置くのが普通だ。

「りんごを3つ食べました」
「切符が2枚あります」

日本語では数量を表す語は副詞的で、名詞ではなく、動詞を修飾する。

上記の文を
「3つりんごを食べました」
「2枚切符があります」
とするのも可能だが、この場合でも「3つ」「2人」はやはり動詞を修飾している。

名詞を修飾するためには
「3つのりんごを食べました」
「2枚の切符があります」
としなければならないが、自然な日本語とは言い難い。

数量を表す語が名詞を修飾するのは日本語として不自然なので、「多い+名詞」は不自然な日本語となる。「多い」を副詞形にして、
「公園に木が多くあります」
とするのは可能だが、「多い」ことを表す副詞「たくさん」があるため、一般的な会話では、
「公園に木がたくさんあります」
という文が用いられる。

以上のことをまとめると、
1.「多い」は数量を表す形容詞である。
2.日本語では数量を表す語は(形容詞であっても)名詞を修飾しない。
3.よって、「多い+名詞」は成立しない。

こんな簡単なことに気がつくのにずいぶん時間がかかってしまった。
日本語教師としてまだまだ未熟だと思う。
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by nihongobaka | 2007-04-22 23:55 | ことば